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米国輸入は「米国」輸入じゃない?

アパレル産業の生産履歴

2019年12月27日

普段にはスーパーで買い物したりする習慣がある皆様はきっと「生産履歴」こいう言葉を聞いたことがあります。生産履歴とは、食品の生産過程や流通経路に関する情報です。言い換えれば、政府は農民に農作物の植え付け、収穫、加工、包装、流通経路など、一連の記録を提供するのを要求することです。けれど、アパレル産業の生産履歴を聞いたことがありますか?あなかが着ている服、靴、帽子、アクセサリーなどは、一体どこで設計、製造、加工、梱包され、あなたに届けられるのか考えたことはありますか?

2005年、米国の経済学者のPietra Rivoli (ピエトラ・リボリ)さんは、《あなたのTシャツはどこから来たのか?―誰も書かなかったグローバリゼーションの真実》で、我々が普段着ているTシャツは少なくとも3か国の協力の下に完成することに言及しました。まず、米国のテキサスの綿農家から木綿を手に入れ、次に中国の縫製工場で加工し、最終的に使い古された服はアフリカのリサイクル業者に回収されて、地元住民に卸売りして再販します(Rivoli、2005)。ですから、多くの場合では、一枚のTシャツの経済的価値は、値札に書いてある値段よりはるかに高いです(Rivoli、2005)。

リボリさんが指摘したアパレル産業の生産履歴は、10年前にはかなり複雑だったかもしれませんが、グローバル化が急速に進展につれて、一枚の服の履歴は我々のよりも豊富なりました。 Nike(ナイキ)のキャンバスシューズを例にとして、OEM生産依頼された豊泰企業 (Feng Tay Group)は、まず台湾の有名な繊維会社である宏遠興業(Everest Textile)と中国地元の繊維会社から、一部の靴の素材を注文します。続いては、ベトナムにある久芸工業(Ever-Tech)から靴のプラチック素材、韓国にあるドイツの会社のFramasからゴム靴底、台湾百合工業(Paiho Group)から靴紐を購入します[1]。そして、すべての材料を台湾とベトナムにある豊泰企業の加工工場に運送され、最終段階の組立作業をします。最後に、Nikeの販売チャネルを通し、グローバル市場に販売されます。

[1] 現在、Nike(ナイキ)、Adidas(アディダス)、Zara(ザラ)などの世界的ブランドは、それぞれの公式サイトで、自社商品の生産履歴を公開し、消費者は商品情報を調べたりすることができます。美謙株式会社もNike(ナイキ)の靴紐サプライヤーの一つです。

続いてはZara(ザラ)の衣類を見てください。棚にあるすべての衣類には「Made in Morocco」(モロッコ製)のラベルが付いていますが、実際には完全にモロッコ製ではありません。一枚のピンク色のシャツを例にとして、オーストリアから繊維を取得し、エジプトで製糸し、中国の紡績工場で布地を生産し、そしてイタリアで染色工程をします。多大な労力を費やした後、染色された布地はモロッコに送られ、そこで裁断し、縫製し、そして世界中のショッピングモールへ配送します(Hope、2017)。Zara(ザラ)こいうブランドを設立した会社のInditex(インディテックス)のデータによると、このブランドのアパレルは現在、世界中で合計7,235の工場と1,866の原材料サプライヤーと協力しています(Inditex, n.d.)。さらに、やがて数は次のピークに達するでしょう。

グローバル化が急速に進展につれて、経済強国の労働賃金は上昇していきます。それに、世界中の関税よ原料価格の差異で、すべてのアパレルはそれぞれ非常に豊富な履歴を持っていることになりました。同時に、世界的ブランドはそれぞれ自社商品の生産履歴を公開するようになった重要な要因が、近年には市民団体(例えば、ヒューマン・ライツ・ウォッチ/ Human Rights Watch)と経済協力開発機構(Organization for Economic Co-operation and Development, OECD)は積極的に促している故です。したがって、世界的ブランドは原材料サプライヤーと最終製品メーカーの労働権、原材料の使用の正当性などの課題に注意しなくなりません。すると、だんだんと自社製品の生産履歴を公開するようになりました。

完備な追跡システムは、協力企業、政府、および消費者が商品の原材料の出所、生産過程、流通経路、カーボンフットプリントなどを明確に理解するのに役に立ちます(Agrawal & Pal, 2019)。同時に、このシステムのおかげで、世界中の企業に「品質」以外のことについてもっと工夫するように促します。ですから、たとえ「生産履歴」はより高い生産コストと人件費に伴っても、消費者を安心させれば、これもきっと各企業が期待することでしょう!

参考資料

  • Agrawal, T. K. & Pal, R. (2019). Traceability in textile and clothing supply chains: Classifying implementation factors and information sets via Delphi study. Sustainability, 11(1698), pp. 1-18. doi: 10.3390 /su11061698
  • Hope, K. (2017). Has this dress been to more countries than you? BBC News Business. Retrieved from https://www.bbc.com/news/business-39337204
  • Inditex. (n.d.). Inditex around the world: Suppliers. Retrieved from https://www.inditex.com/en/about-us/inditex-around-the-world#continent/000
  • Nike (2019). Manufacturing disclosure [Database]. Nike. Retrieved from http://manufacturingmap.nikeinc.com/#
  • Rivoli, P. (2005). The Travels of a T-Shirt in the Global Economy: An Economist Examines the Markets, Power, and Politics of World Trade. Hoboken, New Jersey: John Wiley & Sons.